齧りかけの林檎
第3章 ● 待つ君の ♀side
今からクリスマスフェアの準備、だと・・・?
いや、クリスマスには遅くはない。
でも急な大量注文ということに驚いただけだ。
だいたい10月下旬までには、大量注文で埋まってしまっていたから。
もう11月も半ばだ。
街はハロウィンが終わると同時に、待ちわびていたかのようにクリスマスの装いに変わった。
それなのになぜ今?
それもなぜ、今日。
別に大した用事ではない。
でも待ち人がいるのに、残業なんてしたくない。
連絡先を知っている友人なら別だ。
残業になってしまったからと連絡を入れればいい。
多少なら待っていてくれるだろう。
でも今日の待ち人は男子高校生。
それも連絡先もおろか、名前さえも知らない。