齧りかけの林檎
第3章 ● 待つ君の ♀side
みんなでやればそこまで時間はかからないだろう。
お願いだから今日はみんなで残業しましょう、お願いします、お願いします。
先程受話器を置いた同僚が、明日には出荷出来ると思いますと言い電話を切った。
電話口ではありがとうございますと言っていた同僚も、
帰る支度はとっくに終わっていたので、ガッカリしているようだった。
あーーーー電話でなきゃよかったーーー!!!
なんて言っているが、それは無理だ。
同僚があの電話に出ていなかったとしても、
他の誰かが出ていたのだから。