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齧りかけの林檎

第4章 ● 待つ君の ♂side




ずっと手に握り締めていた彼女のタオルで、彼女の額の汗を拭いてあげた。








「あははは、

 そんなに走って来なくてもよかったのに。

 来てくれて、本当にありがとう」






彼女は勢いよく、自分の汗で張り付いてしまった前髪を下ろして顔を隠そうとしていた。








え?ちょ、ちょっと待って?

残業って言った?今。








社会人なの?




めっちゃ若く見えるんですけど?



学生だと思って疑わなかったんですけど。



女性に年齢聞くのってアリなの?ナシなの?



教えて偉い人・・・!!!!!








「あ、ご、ごめんね!

 これ君のタオルなのに

 使っちゃって」



このタオルは昨夜おれが洗濯した。




いつもはオカンにまかせっきりだけど、なんか自分で洗いたくなって手洗いした。



オカンにバレたくないっていうのも、実はちょっとあったんだけどな。








「あ、いいよいいよ、わたしのだし。

 むしろありがとうございます」








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