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ドラクエらんど

第13章 裏切り者

あたしの前に現れたのは、真っ白な毛並みの大きな狼だった。



「…っ…」



赤い瞳が鋭く光る。
狼はじっとあたしを睨んでいた。



さすがに犬、じゃないよね……
どうしよう…
逃げたとしても絶対追い付かれる!



あたしの膝はカクカクと震い始めた。



狼の前足が一歩前に出た、

その時。



ドドドドドドッ……!!



物凄い音とともに地響きがした。



な、なにこれ……
何かがこっちに向かってくる!?



音のする方に目を向けると、木を倒しながらこっちに突進してくる黒い影を見つけた。



あれはっ……!!



瞬間、あたしの身体がフワリと浮く。



「えっ……!?」



いつのまにかあたしは狼の背中の上に乗っていた。



「しっかりつかまってろ!」

「!?」



い、今の声は……!?



訳も分からず狼の身体にしがみつくと、狼は前足を蹴って走り出した。



ドドドドドドッ…!!



背後からはアイツが追いかけてくる。
さっきあたしたちに襲いかかってきた暴れ牛だ。
あたしは振り落とされないよう、狼にしっかりとしがみついた。



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