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ドラクエらんど

第14章 ブラック…

瞼を開けると、うっすらと視界が見えてきた。
俺たちの前には、小柄な男が背を向けて立っていた。



「おのれ…貴様ぁ!」



片翼をやられた悪魔野郎は、鋭い爪を立てながら小柄な男に襲いかかる。



「危ないっ…!」



俺が叫ぶと同時に、小柄な男は腰から剣を引き抜いた。
そして悪魔野郎の攻撃を素早くよけたかと思うと悪魔野郎の背後に回り、背中を横一文字に斬りつけた。



「ぐはっ……!」



背中をのけ反る悪魔野郎。
すかさず小柄な男は剣を持ちかえ、悪魔野郎の背中に剣を突き刺した。



「!!」



長い剣が、背中から胸に貫通する。



「ぐはっ……!」



悪魔野郎は目をひんむいたまま、大量の血を吐き出した。



「き、貴様っ……」



ギロッと小柄な男を睨みつけながら、悪魔野郎は震えた手で剣の刃を掴む。
掴んだ手からは血がポタポタ落ちていた。



(胸を貫通してるのにまだ生きてるなんて…なんて生命力だ!)



剣を抜けなくなった小柄男は、悪魔野郎から距離をとる。
その時、俺と目が合った。



「今のうちに逃げろ!」

「……」



一瞬、小柄男が女に見えた。
だけど考えてる暇はない。
悪魔野郎と互角に戦えるのはあいつだけだ。



視界がハッキリしてきた。
周りを見渡すと、地面にうずくまってるうさ公と倒れている月影の姿があった。



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