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ドラクエらんど

第18章 ビッツの館 (前編) ※BLあり

脳裏にらんの姿が浮かぶ。



あいつは…無事だろうか。
媚薬を飲まされてなければ、助けることができたかもしれないのに……。



「…なにやってんだ、俺は…」



アカツキの連れも、月影もらんも、誰一人助けることができなかった。



──お前は死神の子だ!──



ふと父親に言われた言葉を思い出す。
昔から俺が関わると、必ず誰かが死んだ。


部屋に閉じ籠って、なるべく人と関わらないように生きてきた。
なのにまさかこんなことになるなんて…


やっぱり俺は……
俺には人を救うなんて無理なのか?




カツン……カツン……


「…っ!」



誰かがこっちに近づいてくる。
さっきの子供とはまた違う足音だ。
足音の方に顔を向けたいが少ししか動けないため、確かめることができない。



ここの住人なのか?
味方なのか、敵なのか?

こんな状態では…どちらにも見られたくない。



人の気配がする。
俺を覗きこむ黒い影が見える。
2つの目が光っている。



「……さん……」



何か呟いたようだがよく聞こえなかった。
そいつは手元に何か光る物を持っていた。
それをゆっくりと上に移動していく。


まさか……



「やめろ!!」



俺が叫ぶのもむなしく、そいつはそれを躊躇することなく振り下ろした。



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