テキストサイズ

ドラクエらんど

第18章 ビッツの館 (前編) ※BLあり

「あなたの仲間は逃げましたよ」


「……」



俺はわざと彼が傷つく言葉を言い放った。
とにかく自分の中のモヤモヤをぶつけたかったからだ。



「可哀想に…」



そしてわざと彼を哀み、惨めな気持ちにさせる。



「…そう…か…」



ひなたは掠れた声を出した。
仲間に裏切られ、相当ショックを受けたはず。



「…それは良かった…」


「え?」


「…こんな思いは…オレだけで十分だ…」


「!」


「……オレにはここでの暮らしの方が、合ってるかもしれねぇな……」




なんて男だ。
彼は最初から希望すら持っていない。
しかも自分を犠牲にして、仲間を守っている。
俺が言うことじゃないが、もっと自分を大事にしろ、と言いたい。



きっとここに居続けたら、彼は廃人のようになるだろう。
ビッツ様も彼のことが気に入ったようだし…
今逃げなければ、使い捨てられて彼は死ぬ。



いや…俺はそういう奴を今までたくさん見てきたじゃないか。
みんな希望をなくし、自ら死を選んだ者もいた。
彼がボロボロになろうと、俺には関係ない。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ