テキストサイズ

ドラクエらんど

第19章 ビッツの館 (後編)

その声の主の方に振り向くと、下半身魔物化したビッツが高麗人参を片手に立っていた。



「…ビッツ様…?」



下半身魔物化した姿のビッツを見て、まるで初めて見たかのようにYUIさんが目を丸くする。



「なんだ、あれは…」



隣にいたひなたくんも真っ青な顔をしてその場に立ち尽くした。



「さあ、YUI、ひなた。あともう少しよ。そこに転がっている悪魔をやっつけておしまいなさい!」



ビッツは倒れている月影を指差して笑う。
僕はそうはさせまいと、月影の前に出て両手を広げた。



「月影はもう悪魔じゃない! 月影に取り憑いていた悪魔は消えたんだ!」

「黙りなさい。あなたもほんっとーにしつこい男ね。これだから不細工は…。あの二人と一緒に魚の餌にしてやるわ、今度はサメの餌にね!」



あの二人って…まさか、れんじと昭玄さん!?
やられちゃったのか!?



僕はギュッと奥歯を噛み締めた。



せっかく月影が元に戻れたのにっ…
アイツ相手に僕一人じゃどうすることもできない…!
何か、他に何かいい方法は……!



「ビッツ様」



放心状態だったYUIさんがうつむき加減に、ビッツの元に歩きだした。
辺りは雨も弱まり、空が明るくなってきていた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ