愉快誘拐
第1章 何かの間違い
学校からの帰り道。
この時間帯学生は少ないほうだ。
それもそのはずで俺は部活に入っていない。
そのため部活動終わりの学生が帰る時間よりも早く帰宅する。
時間はまだ四時過ぎ、朱く染まった空にはカラスがてんてんとしている。
早く帰って施設の奴らの面倒を見なくては。
そう思い足早に帰ろうとする。
そんな思いと現実は突き放された。
体に火花が散ったような感覚に襲われる。
その感覚が舌にまで伝わって、声が出ない。
「っ………」
何が起きたのだろう。
何も考えることができずに俺はその場に倒れた。