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秘密の兄妹

第1章 冷たいお兄ちゃん

「紫織ちゃん、明日の土曜日って暇?せっかくの休みだし、2人で遊園地とか行かない?」



「明日…ですか?」



『…紫織、期待するだけ無駄だ……』



……お兄ちゃんもどこかに出かけてきっと帰りは遅くなる……一人は嫌……。



「はい、行きま「明日は両親の結婚記念日だから無理!!」



突然、お兄ちゃんが私と武部さんの間に割って入ってきて私の腕を強く掴む。



「紫織、帰るよ!!」



「…えっ?」



「今日はこのまま帰る……。」



私の腕を掴んでいるお兄ちゃんの手の力が強まる。



「…お兄ちゃん、明日って……」



「明日は、父さんと母さんのお祝いだって前から言ってなかったっけ…忘れた?」



…いてくれる……



お兄ちゃん、明日は家にいてくれるの?



「…ううん、忘れてない。」



「じゃあ春樹、そういうことだから紫織を誘うのはまたにして。」



「ああ…分かった。」



「武部さん、ごめんなさい。」



「いいよ。でも次は俺の行きたいところに付き合ってくれる?」



「はい、楽しみにしてますね!」



私が笑顔で武部さんにそう約束すると、お兄ちゃんが顔を曇らせた。



……?



「…春樹、今日は俺の代わりに風磨たちと遊んでやって。」



「うん、そうする。」



武部さんはニッコリ笑うとお兄ちゃんの友達と一緒に街中の方へ歩いていった。



2人になると、お兄ちゃんは私から手を離す。



「帰ろ…。」



お兄ちゃんは私の方を一切見ず、私の前を歩き出す。



それでも嬉しかった。



家族のこと…私のことを少しは考えてくれているんだって分かったから。



私はお兄ちゃんの背中を見ながら後に続いた。





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