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白衣と天使

第7章 〜幸せな日々のヒトカケラ。

安「や、やっぱなんもない!忘れて!うん!はい!ごめんね!」

気まずい沈黙に耐えきれなくなったのか、
章大が早口にそう言って、
真っ赤な顔をペチペチと何度か叩いてから、持っていたAVを隠すようにしてテーブルの下へとしまった。

その慌てようがなんだかおかしくなってしまって、思わず吹き出す俺。

雛「…ぷっ。あかん。お前、かわええなぁ。」

安「え?なによ、信ちゃんバカにしてるやろ〜?」

雛「してへん、してへん。してへんけど…」

安「なに?」

いつもの空気に戻って、少し安心したようにみえる章大が、ポカンとした顔をしながら首を傾げているところに、そっと近づいて行く。

雛「…章大も、ちゃんと変態やねんな。」

安「へ、変態ってなんよ!別にそんなんちゃうやん…」

雛「ちゃんと章大のこと好きやし、安心せぇって。ほんま、心配性やな、お前。」

にかっと笑いながら、章大の頭をくしゃくしゃに撫でてやるが、いつもの章大のように喜んではくれない。
正直これでおさまるかと思っていた俺としてはあれ?な展開で。

そんな風に思っていると、ふいに章大が頭を撫でていた俺の腕を掴む。

その手に、少し力が入っていて、
泣きそうなほど真剣な章大の目が、俺を見上げるから、俺の顔からも笑顔が消える。

安「…俺が病気やから、気い使ってるん?…信ちゃんと両想いなれてから、何年経ってる?病院出てから、何年経ってる?もう結構経ってるよね?なのに、信ちゃんキス以上のことは絶対してきてくれへんやん。ビデオのおねぇさんで我慢しててんやろ?俺じゃダメってことやろ?」

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