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第9章 身の程知らず

(二宮side)

その人が、浮気相手だった?

櫻「二宮くん」
「なんですか?」
櫻「俺は、二宮くんが世界で一番好きだからね」

ビックリして、翔くんを見つめる。

櫻「だから、そんなに悲しい顔しないでよ」

翔くんの顔も辛そうだったのに…。

「そんな顔…」
櫻「してるよ。」

…悲しいよ。
だって、思い出しちゃうんだもん。

櫻「おいで」

翔くんが、俺を呼んでる。
俺だけを呼んでる。

櫻「二宮くん」

なのに、足がすくむ。
動けない。

過去の俺が、今の俺を止めてる。

『どうせ、裏切る』
『また別れることになる』

頭で響く声。
紛れもなく、俺の声だ。

「違う…」

『何が違うんだよ。裏切ったのには代わりないだろ?』

「違う…違う…」

『自分に言い聞かせてるだけだ』

「違うんだよ!」
櫻「に、二宮くん?」

『見てみろ。優しいのも最初のうちだ』

翔くんが、ビックリしたように俺を見てる。

「違う…違う…翔くんは、そんなこと二度としない…」

『なんで言い切れる?』

「それは…」

『根拠なんてないだろ?』

「根拠なんて…ないけど…」

『だったら、傷つく前に立ち去れ』

「嫌だ…」

『なんで?』

「俺は…傷ついてもいい。ここにいる翔くんは、あの翔くんじゃないんだ。“櫻井さん”なんだ」

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