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第14章 遠い日の記憶

(二宮side)

どうして、そんなに不機嫌なの?

さっきまで、楽しそうに話してたのに。

櫻「決まった?」
「あ、うん」
櫻「頼んじゃうね」

選んだメニューを伝えると、
「わかった」って笑った。

けど、やっぱり違和感がある。

……あ!
表情がほとんど変わってない。

ヤバい…。
絶対に怒らせた。

ス「かしこまりました。少々お待ちください」

ウェイトレスさんがいなくなると、
俺は意を決して話しかけた。

「翔くん」
櫻「……。」

相変わらず、黙ったまま。

「なんか、怒ってる?」
櫻「怒ってないよー」

翔くんは、
「あはは」って笑ってたけど、
目が笑ってなかった。

怖いぐらいのポーカーフェイスで。

「なんか…ごめん…」
櫻「……別に」

怒ってるじゃん。
完璧に怒ってるじゃん。

あ、もしかして…。

『あ、なんか食べて帰る?』
『なんかって何ですか?』
『にのみ…』
『バカ、アホ、変態』

って、言ったから?

確かに、言い過ぎたと思うけど
人前で「いいよ♡」なんて言えないじゃん。

その場しのぎの言葉だったのに…。

「翔くん」
櫻「ん?」
「俺のこと、食べていいからね…」

櫻「は?」

「いや…さっき言い過ぎたから…」

櫻「あ、そう」

…なに、そのリアクション。
こっちが勇気だして恥ずかしいこと言ってんのに。

櫻「別に、そういう話じゃ…」
「じゃ、どんな話なの?」

コレじゃ、逆ギレじゃん。

櫻「言わなきゃいけないの?」

鼻で笑った。

「言わないとわかんないよ。俺、翔くんの心の中を読めるような人じゃないし。言わないとわかんないことなんて、たくさんあるじゃん」

櫻「そうだけど」

「なんで、開き直るの?」

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