言葉で聞かせて
第8章 猫に恋敵
「以前僕がカツアゲされていた際に助けていただいたんです。その時の敦史さんがかっこよくて……」
「それで憧れて、ホストに?」
「はい!」
確かに
悪いが正直ホストには見えない
スーツは安物だし
全く似合ってない
まぁ可愛い系で売ってけばイケるか?
「とりあえず源氏名決めねえとな」
「そうですね」
「何か希望はあるか?」
「えぇと……」
森が考え始めるとその様子を見た悠史がくす、と笑って
「それじゃあ僕はこれで」
その場を去ろうとする
「え?おい……っ」
「だって僕は森さんに選ばれなかったんですから、ね?」
「そんな……」
悠史はニコニコ笑いながら準備のために裏に入っていった
なんだ?あいつ
まぁいいや
「決まったか?」
「あの……」
「なんだ?」
「敦史さんに、決めてほしい……です……」
「あ?」
俺に?
そんなこと言われたことねえな
「んーー……じゃあ、流……で」
「流、ですか?」
「俺の源氏名が流星だから、一文字とって流。安直すぎか?」
俺が聞くと森は顔を明るくした
「いえっ!光栄です!敦史さんから一文字頂けるなんて!」
「じゃあそれでいいか」