テキストサイズ

言葉で聞かせて

第8章 猫に恋敵


「ほんと?やった!」


笑い方といい仕草といい
これは女ウケも良かろう


俺が考えていると隣にいた流が俺の服の裾を引いた


「キャラ、って……」
「あぁ、こいつはもともと何の面白みもないつまんない奴だったんだけどーー」
「ひどい!」
「うるせぇぞ。売り出すために何かキャラ付けようってことになってな。結局弟キャラってことで定着したんだよ」
「なるほど……!」


流が内藤のことを羨望の眼差しで見つめている


「皆さんに何かしら売りになるキャラがあるんですか?」
「あぁ……っと……」
「はぁい。叔父様キャラでぇす」
「……」
「叔父様キャラ、ですか……」
「そうそう。やっぱりレディってのは大人のダンディな男に憧れるもんなんだよ?」


流の腕を取りくるりと回った斎藤さんは最後に腰を抱き寄せた

そしてそのままキメ顔で静止


おいおい
可哀想なことすんなよ
せっかくの雑用がやめちまったらどうすんだ


「おい。やめてやって下さいよ」
「流星ちゃん冷たぁい」
「ちゃんやめろおっさん」


髭を押し付けられたまま放心状態の流を助け出してやる


「もうここはメンドクセェから行くぞ」
「は、はい……っ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ