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言葉で聞かせて

第8章 猫に恋敵

それからフロアの座席番号についてや酒の値段についてもざっと説明して回った


「まぁ、こんなもんだろ」
「ありがとうございます」
「開店したらとりあえず俺達についてもらうから」


気づけばもうすぐ開店時間で、フロアにはスタッフが集まってきていた


「敦史さんの他にも誰かいるんですか?」
「あぁ。今日は悠史がいる」
「悠史、さん……」
「俺の双子の片割れだ」


スーツを整えながら「あぁ、そうだ」と俺は流に向き直る


「客の前で俺のこと呼ぶときは流星、って呼べよ」
「わかりました」


よし
まぁ後は習うより慣れろってことで
いちいち悠史みてぇに細かく説明すんの面倒くさいし


首を左右に傾けて凝りをほぐしていると直前まで内藤と話していた悠史が隣にやってきた


「先輩業務お疲れ様」
「茶化すなよ」
「茶化してないよ」


ふふ、と笑った悠史にため息をつく


「そーいや俺今日あれ忘れてきた」
「僕がやっておいたよ」


あれってのは部屋に溜まった洗濯物出すことって意味で他の奴には伝わらないとわかっているが、悠史なら伝わったであろうから「さんきゅ」と言っておく

すると流が俺の服を引いた

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