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言葉で聞かせて

第8章 猫に恋敵

「は、はいっ」


緊張した面持ちで俺の後について来た流に、俺の腕にくっついていた女が気づいた


「だぁれ?新人さん?」
「あぁ。悪ぃけど一緒させてくれ」
「ふふふ、流星が先生なの?」
「お前も馬鹿にすんのか?こら」


俺が軽くデコピンすると女は嬉しそうに笑う


「まったく」
「だって……」


まだ微かに笑みをこぼす女に小さくため息


やっぱり人助けとか慣れねえことするもんじゃねぇな
こうやって面倒が出てくる


席に着くと「私白ワイン」「私は赤で」と注文された内容をそのまま黒服に伝える

そして酒が届くまでの間に流の紹介、と座らせる


「今日一緒に相手させてもらう新人の流だ。……ほら」
「初めまして!よろしくお願いします」


肩を強張らせて顔をほんのり染めた流は面接か何かに来た学生のようだ

俺がため息をつくと悠史がフォローに入ってくれる


「流くんはまだ現役の大学生なんですよ」
「えぇ〜若い」
「ほんと?でも肌ぴちぴちだ」


「わぁ、いいな〜」と流に近づく二人の女に、流が少し腰を引いてしまう


チッ
気張れよくそ


流の腰に手を添えて支えながら少し前に押し出す

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