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言葉で聞かせて

第8章 猫に恋敵

そしてその夜千秋は何処かおかしかった

何故だかずっと下を向いてやがるし、耳は真っ赤になっている
俺が何かしたかと思って聞いても首を横に振るだけで答えない


なんだ……?


まぁ答えなくないことを無理やり聞くのは良くないだろう、と俺は千秋の前髪にキスして「おやすみ」とささやいて目を閉じた

すると腕の中の千秋が身じろぎをする

苦しいのかと腕を緩めれば千秋は逆に俺の方へ身を寄せてきた


思わず目を開けて


「どうした?」


と尋ねると暗闇で表情のわからない千秋が俺を見上げる


「?」


またなんか千秋の嫌なことでも起きたか?
俺がなんかしたか?


普段女相手ならそんな面倒くさいこと考えないくせに、相手が千秋となるとやたらと気になって
無い頭をフル回転させながら考えていると


「!」


突然千秋がキスをしてきた


うわ、おい

ちょっと待て


「……っ、待っ……」


さらに千秋は俺の身体に馬乗りになってまでキスをしてくる


こういうこと慣れてるはずな俺だが、そんなこと言ってる場合じゃねぇってくらい慌ててる


「ち、あき……っん……」


啄むように何度もしてきたキスは徐々に深みを増す

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