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言葉で聞かせて

第8章 猫に恋敵


あぁくそ
可愛いな


千秋が着ていた俺があげたシャツも捲り上げて脱がせる

すると現れた肌は暗闇でもその白さがわかるほど綺麗なもの
だがそこには
俺たちの失態による傷が残っていた


「……」


その傷を無言で撫でると千秋は不思議そうな顔をする


「この傷、綺麗に治るといいな」


俺の言葉に千秋は視線を彷徨わせ、枕元にあった携帯電話を手にとった


『僕は消えなくても構わないです。貴方達と思いが通じるきっかけになったと思うと、この傷が愛おしくも思えるので』
「千秋……」


俺は千秋の身体に顔を寄せ、かすり傷にも痣にも傷一つ一つにキスを落としていく

流石に腹にキスをされるのはくすぐったいのか身体を捩るけど、それを両手で抑える

全ての傷跡にキスをし終えると、再び千秋の唇にキスをした

触れるだけで終わらせるつもりが、離れる直前に下唇を食まれて頭に血が上りそうになる


顔を離した時に悪戯っ子のような笑みを浮かべる千秋が愛おしくて俺の顔も自然に緩んでいた


「千秋……」


また名前を呼びながら顔を近づけると、突然俺の部屋の扉が静かに開いた


「敦史……?」
「悠史……!!」

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