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言葉で聞かせて

第8章 猫に恋敵

悠史目線

アフターに行くはずだった女性が急に用事が出来てしまい、突然キャンセル

特に気にも留めずに家に帰ると敦史の声が聞こえた


今寝るところなのかな


1日の締め括りに千秋さんに挨拶だけでもしたいな、と思い扉を開けた
するとそこにいたのは想像通り敦史と千秋さんだった

けど

2人は裸で抱き合っていて


「敦史……?」
「悠史……!!」


驚いたように身体を離しはしたけど、誤魔化すことの出来ない状況に敦史は気まずそうに頭を掻いた


「何して……」
「あー……」


明らかにこれから性行為をしようとしていた2人を前に湧き上がったのは燃え上がるような嫉妬

でも血を分けた兄弟でありずっと共に生きてきた片割れである敦史に強く言うことなんて出来ないし、それより僕と千秋さんが恋人なのではなく僕と敦史と千秋さんが恋人なんだから


邪魔、かな


僕が踵を返そうとすると、敦史は僕に向かって「来いよ」と言った


「え?でも……」


僕がいていいの?
2人で楽しみたいんじゃないの?

今日のことだけじゃなくていつも、僕は邪魔なんじゃないの?


ネガティヴに考えて勝手に落ち込んで、敦史に言わせると「面倒くせえ」僕はそれでも自分の部屋に戻ろうと思った

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