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言葉で聞かせて

第8章 猫に恋敵


身体やらもろもろを洗い終わったらしい千秋が湯船に浸かった音がして、俺たちは振り向いた

各々身体を洗って俺たちも湯船へ


男三人で風呂に入るなんて一見狭っ苦しいような気がするが、うちの風呂は他の家より大分広いためそうでもない

俺と悠史が向かい合うように端に背中を預けて座ると、真ん中の千秋はどうしたものかと視線を彷徨わせている


「ふっ………千秋、こっち来い」


俺が腕を引いて俺の脚の間に座らせた

すると千秋は顔だけ俺の方に振り向く


「ん?」


何かと思えば千秋は俺の髪を一房手に取って撫で始めた


「なんだよ?」


笑い混じりで尋ねると千秋は浴室の壁に指で


『濡れると髪、長いですね』


と一言


「あぁ、普段はワックスで立ててるからな」
「確かに、濡れると女の子みたいですよね」
「おい」


ふふふ、と笑う悠史と一緒に千秋も声なく笑った


いいけどよ


悠史が千秋の髪を撫でる


「千秋さんは髪の毛染めたことないですよね。ーーやっぱり。綺麗な黒髪ですね」


悠史が褒めると千秋は嬉しそうに笑った


「そろそろ出るぞ」
「そうですね」


そこそこ力も戻ってきていた俺は今度は軽々と千秋を持ち上げる

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