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言葉で聞かせて

第8章 猫に恋敵

「おはよ!」
「おはようございます」


僕達が挨拶を交わしているのを見て、森君は顔を顰めている


「あっ森君。おはよ」
「おはようって時間じゃないです……」
「仕事始めは何時でもおはよう、なんだよ?」


森君への挨拶が終わると楓くんは僕の腕に絡みついてぐいぐい引っ張ってきた


「ねー聖夜さん!今日おやつ持ってきたの!始業まで食べよ」


だけど僕はその手を押し留めて森君を振り返る


「さっき、何か言いかけませんでしたか?」
「ぁ……いえ、大丈夫です。もうわかったので」


わかった?
何が?


僕が考えているうちに「失礼しますっ」と森君は去って行ってしまった


「?」
「流たんはどうしたんだろ?」
「どうしたんでしょうね」


二人して首を傾げて、「まぁいっか」と控え室に向かった


始業前の全体ミーティング


「ーーよし。後は、流」
「はい!」
「今日は楓につけ」
「ぇ……」
「後輩指導初めてー!わーい」


森君は敦史の方に目線を泳がせるけど、敦史は「祝え」と僕らに戯れてくる楓くんの相手をしていて目もくれない


「流?いいな?」
「……わかりました……」
「よろしくね!流たん」

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