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言葉で聞かせて

第8章 猫に恋敵

営業後、僕が帰り仕度をしていると「あのっ」と後ろから声をかけられた


「はい?」
「あの……この後お話よろしいでしょうか?」


声をかけてきたのは、朝から僕を悩ませた流くん


「えぇ。お伺いいたします」


僕が流くんの方へ身体を向けると


「いえあの……ここではなく……」


控え室のここには僕以外のホストもちらほらいるから他の人にはできるだけ聞かれたくない話題なのかな


「わかりました。では、駅前の喫茶店でよろしいですか?」
「はい。ありがとうございます」


敦史に先に帰って、と断ってから僕達は一緒に店を出た

喫茶店に入り、お互い飲み物を注文

一息ついたところで黙り込む流くんに僕から声をかけた


「お話というのは?」
「ぇ……と……」


流くんはびく、と一瞬揺れてから机の下の自分の手を見つめてもじもじしている

僕は一瞬時計を見た


流くんには悪いけど
早く帰りたいな

まだ昨日の熱が冷めなくて
千秋さんに早く会いたい


すると何か決心したかのような表情で流くんは顔を上げた


「あのっ……」
「はい」
「あの……っ……聖夜さんと流星さんはどういったご関係なんですか!?」


半ば叫ぶように問われて頭が固まる


どういったご関係?

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