言葉で聞かせて
第8章 猫に恋敵
「僕達の何が流くんに勘違いさせているのかはわからないんだけど、とにかく僕達は普通の兄弟でそれ以上の関係はないよ?」
共通の恋人がいて、性行為も3人でシた
なんて余計なことを言えば混乱を招きかねないから僕はとりあえず流くんの誤解だけを解こうと必死で言い募る
でも流くんは全く聞く耳を持たなくて
結局
「……そんなに熱心に否定することないじゃないですか。流星さんが可哀想です……」
「え?」
「僕っ……僕!聖夜さんに負けません!!絶対僕が流星さんを幸せにしてみせますから!!!」
「えっ……ちょっと……!?」
そう叫ぶと流くんは机の上に千円札を置いて走って店を出て行ってしまった
こんな深夜の喫茶店で大声を出して言い合いをしていた僕達を見る他の人の目が痛い
僕も急いでお金を払ってその店を後にした
「……ただいま……」
マンションに帰り着きリビングに入ると、ソファで寛ぐ敦史と僕の帰宅でコートを受け取りに来てくれた千秋さんに出迎えられた
「おう、おかえり。オーナーか?」
呼び出したのは誰だ、という質問に僕は大きな溜息をついてから答える
「流くんだよ」
「流が?」