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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


「……はい」


三崎さんの言葉には力があるな

新人なんかには、冷たいだなんだと嫌われがちだが
俺にはそんな風には見えない

この人は本当に世話焼きで、キャストを信頼してる


「…………三崎ママ」
「殺すぞ」
「すみません」


この人たちに何を解決してほしいという訳ではなかったが、向き合ってみればこの人たちに知っていて欲しいと思う気持ちの方が大きくなっていた


悠史、悪い


「客に、エリカって女がいます。親父がでかい会社の社長でーーーー」


そいつが悠史の子供を身篭ったと訴えてきた
で、そいつと結婚、同棲をするために悠史は店を辞めた

そこまで話して三崎さんが「あぁ」と声を出した


「あいつだろ。いつか開店直後に騒いでた頭の弱そうな……」
「多分、そうです」


三崎さんがもう1本タバコを取り出す
火をつけろ、と横のオーナーに催促するが、佐伯さんがそのタバコを取り上げた

舌打ちをした三崎さんは立ち上がり、俺にメモ帳とボールペンを差し出す


「その女のフルネームと、親の会社名、診断書を出した病院の名前を書け」
「えっ……?」
「何度も言う趣味はねぇぞ」
「あ、はい……」

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