
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
店の営業が終わると、俺は急いで店を出た
「流星さんお疲れ様です」
「お疲れっ」
黒服に呼んでもらっていたタクシーに乗り込んで、家の住所を伝える
いつも馴染みにしている運転手なだけあって、他の奴より家に早く着いた
「いつもありがとう。釣りはいらねぇから」
「ありがとうございます」
優しい笑顔を向けた運転手に1万以上多く渡して、礼もまともに聞かないまま車を飛び出した
エレベーターを待っている時間すら惜しい
ゆっくり降りてきてんじゃねぇよくそ!!
ドアが開いた瞬間すぐに乗り込んで階数ボタンを押し、開ききったばかりのドアをすぐに閉める
「はぁ……」
そして束の間の休憩にエレベーターの壁によりかかった
千秋、大丈夫かな
到着したエレベーターからタクシーと同じように飛び出して家の鍵を忙しなく開ける
「ただいまっ」
バタバタバタ、と下品な足音を響かせながらリビングに入ると、テーブルに作った夕食を置きにきていたらしい千秋がこちらを向いた
「どうしたんですか?そんなに忙しなく………おかえりなさい」
若干疲れた顔をしているが、俺が心配していたのはそんなことじゃなくて……
