
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
自分の中で悲しいとか申し訳ないとか痛いとか苦しいとか色んな感情の混ざったものがぐるぐるして、異常に気持ち悪い
「敦史さん?やっぱりどこか具合が悪いですか?」
俺の背中に手を当てながら顔を覗き込んできた千秋が、心底心配そうな顔をしている
「悪い。ちょっと考え事してたわ」
「そうですか。そろそろ寝ますか?」
「あぁ。先に行っててくれ」
悠史との交代制だった千秋との添い寝が、俺だけになった
何気なく放った自分の言葉からそのとこに気づき、少し、心が痛む
「はい」といつもと変わらないトーンで返事をした千秋は俺の部屋に向かった
なんか、思ったより普通だな
朝はそりゃ泣いたけど帰ってきてからは疲れた顔をしてるだけ
気使わせてんのか?俺が
どっかで発散させてやりてぇけど、一回やりゃ治まるってもんじゃねぇしな
「はぁ……」
俺はテレビと部屋の電気を消して自分の部屋に向かった
静かに扉を開けて中を伺うと、千秋はもう俺のベッドに入って寝息を立てている
泣き疲れて昼間寝ていたが、それでもきっと1日中悠史のことを考え続けて疲れたに違いない
ベッドに腰掛けて頭を撫でる
「……っく……っ」
「?」
