
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
「僕の顔に何か付いていますか?」
「へ……?いいえ?そんなことないわ」
目が合うと恥ずかしそうに眼を逸らすその仕草は、演技なのか天然なのか
どっちなんだろう
しかし不自然なまでにこっちばっかり見てるなぁ
と思っていると
「……ぁ、れ……」
目の前が突然、揺れた
眩暈がして、視界がブレる
平衡感覚もなくなって
まっすぐ座っていられない
「なんだ、これ…………」
「悠史?どうしたの?」
僕の異常に気がついたエリカさんが心配そうに僕の近くに来たけれど、ブレた視界の中でもはっきりわかった
エリカさん、笑ってる
そこで脳裏によぎったのはさっきの濃いお茶
あれか
何かの味を誤魔化すためにわざとってこと?
なんで……って
あぁもう
頭……回らな……い……
「悠史?ゆーーーー」
僕の名前を呼ぶエリカさんの声が頭に響く中、僕の意識は暗い闇の底に落ちていった
「…………ん……」
次に目が覚めた時には、僕は柔らかいものの上に横になっていた
動くとギシ、と軋んだ音
ベッド……かな
考えてみれば僕の下にある柔らかいものは布団のようにも思える
