
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
暮らしてみればこうして繋がれた生活というのも悪くはない
欲しいと言ったものはすぐに用意されるし、仕事もせずに1日中家に居られるというのは楽なものだった
何をしているのかは聞いても教えては貰えなかったけど、エリカさんは基本的に日中は家にいない
何日かに1度は家にいるが、そういう時は度々人が訪ねてくる
働いている気配はないんだよね
なんていうか、エリカさんに疲労感を感じられないし
何してるんだろう
本当に
食事はエリカさんがいればエリカさんが持ってきて、いなければ簡単なものをベッドサイドに置いていかれる
携帯が使えないだけでテレビは観れる
本は好きなものを用意してもらえる
こう考えてみても好待遇だなぁ
お金も結構かかってる気がするけど、どこからそんなに湧いて出てるんだろうか
一緒に暮らし始めて何日か経ち、この生活にも少し慣れ始めた頃
コンコン、と控えめに部屋のドアがノックされた
時刻はもう夜中と言ってもいいくらいの時間
「はい?」
「悠史?入ってもいい?」
「どうぞ」
僕の言葉を受けてドアがゆっくりと開く
そこに立っていたエリカさんは、何故か真っ青な顔色をしていた
