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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


なんだ
そっちか


俺が安堵のため息を吐くと、三崎さんがふ、と笑った


「何ほっとした顔してやがる。別にんなことで怒ったりしねぇよ」
「……ありがとうございます」
「今日の閉店までには用意するから、アフター入らねぇで残れ」
「はい」


笑った顔なんて随分珍しいもの見たな


俺はとりあえず一安心して店に戻った



「え〜今日流星アフター行けないのぉ?」
「悪いな」
「つまんなーい。聖夜もいないしさぁ」


星の数ほどあるアフターへの誘いをひたすら断っていると、ある客が


「せっかく聖夜に噂のこと教えてあげようと思ったのにぃ」


と言い出した


「あ?なんだそれ?」
「前回ここに来た時にね、聖夜を指名したんだけど、なんかあの不正金が問題になってる会社の話にやけに食いついてくれたから、噂の話をしたの」
「噂?」


女は俺の反応には特に興味なさげに酒を飲む


「うん。まぁ結局次の指名が入って話せなかったんだけど。それで、その噂の詳しい話を話してあげようと思ったの」


「なのにいないんだもん」と俺を仕方なく指名したような雰囲気を滲ませる女には目もくれず、俺は身を乗り出すようにしてそいつに聞いた


「噂ってのはなんだ!?」
「えっ?」


女は驚いて仰け反っている

が、そんなことかまっている場合じゃない

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