
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
悠史が聞きたがる話なんて時期的に考えれば確実にエリカ絡みのことだ
噂レベルの話でも、あの女から悠史を取り返すのに繋がる糸口かもしれねぇ
そう思うとなりふり構ってなんかいられなかった
「なぁに?2人して、あの会社のことそんなに気になる?」
「いいから、早く話せ」
なんなのよ、と文句を言いながらその女は話し出す
「なんかね、会社のなくなってるお金なんだけど、なくなってることはわかるのになくなった先が全くわからないんだって」
いちいち酒を間に挟みながら話すのが気にくわない
くそ
とっとと話せよ
「それでね?噂だよ?噂なんだけど、その会社のお金って、社長令嬢のエリカが使い込んでるんじゃないかって」
「は?」
俺が固まってもそいつは構わずに話を続ける
どんだけ俺に興味ねぇんだよ
おい
「普通は社員とかから調べるでしょう?なのに全く見つからない。社長を調べても見つからない。なら、会社以外の関係者ってことになるけど、それも見つからない。ならもしかして、エリカなんじゃないかって」
「なんだそれ……」
「でしょ?まぁそこそこ頭もいいし、ありえなくはないんだろうけど、何億使ってんのって感じよね。どれだけのブランド物買い込んだってこんな短期間に使ったりできないでしょうよ」
