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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


俺が隣に行ってパソコンを覗き込むと、画面の中には若干画質の悪さでボヤけた店内が映し出された

中央にあるのは悠史が接客していたテーブル

三崎さん長い指がキーボードを叩くと、画面に店の開店時の映像が流れる

早送りされて入れ替わり立ち代りキャストと客を変えるその席に悠史が現れたのは、再生し始めて少ししてからだった


「ここか」


三崎さんの指が動いて画面が通常の速度で動き出す

画面の中の悠史はエリカに向かって他の客に接するのと同じようにしている


ここまでで特に変わったところはねぇな


しかしおかしなことが起こったのは俺がそう考えたすぐ後

エリカがカバンの中から何か紙を取り出していた


「なんだぁ?」


俺と三崎さんが肩を並べて画面を見ているその後ろで見ていた佐伯さんが声を上げる

俺と三崎さんも少し前のめりになりながら目を凝らしたが、画像が荒すぎて何が書いてあるか全くわからない


紙全体が黒っぽいのはわかるんだが
何かまではわかんねぇ……


結局接客を最後まで見たが、エリカがその紙を取り出して悠史に見せた、というぐらいしか不審な点は見つからなかった


「怪しいと言えばまぁ、この紙だな」

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