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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


三崎さんが画面を巻き戻して止めたところにある白っぽいものを叩く


「これが何かわかれば苦労しないんだけどねぇ」
「……」
「敦史、心当たりは?」
「すいません。わからないです」


「そうか」と残念そうに眉を下げる佐伯さん

三崎さんも口にはしないが同じ気持ちなんだろう
小さくため息をついた


「でもまぁ、これでこの女の子が脅してるってことはわかったしね。イケるよ」


三崎さん越しに後ろから手を伸ばした佐伯さんがパソコンでその画面をスクリーンショットして撮影する


「俺の店でやるなんて良い度胸だ。タダじゃ許さねえ」
「怖いってママ」


軽い調子で戯れている二人に向かって俺は頭を下げた


「俺の勝手な事情で手間かけてすいませんでした」


すると俺に顔を向けた三崎さんが頭を軽く叩いた


「めっ☆」
「!?」
「おいこら」


佐伯さんのふざけたアテレコに思わず顔を上げると、笑った顔の佐伯さんが俺を見ていた


「お礼はちゃんと、悠史と一緒に言いに来なさい。それが恩返しだ」


そう言い切った佐伯さんが異常にカッコよく見えて、俺はまた頭を下げた


「ありがとうございます。お世話んなります」

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