テキストサイズ

言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


「かっこつけんな気持ち悪い」
「酷いっ」


一瞬俺も惚れるかと思うぐらいカッコいい発言をした佐伯さんはその後すぐに三崎さんに叩かれた


あぁほんと
この人たちのこと好きだわ

感謝してもしきれねぇ


「俺の言葉遮っていいと思ってんのか?あ?」
「えっ、え〜……?そんな怒る?えっ格好良かったでしょ?」


俺が二人のほほえましいやり取りを眺めていると、俺の視線に気がついた三崎さんが佐伯さんを再び叩く


「あ、あぁ……もう。じゃあ情報収集行ってくるよ」
「頼む」
「お願いします」


「ったくほーんと人使い荒いんだから〜」と文句を漏らしながらも事務所を出て行った佐伯さんを見送って、俺も三崎さんに頭を下げて事務所を出ようとすると


「敦史」


三崎さんに呼び止められた


「はい」
「お前んとこの仔猫の様子はどうだ?」


仔猫……千秋のことか?
可愛い表現されてんな

つーかやっぱ俺たちのことぐらい調べてんだ


「普通……です。今のところは」
「そうか」
「はい」
「……まぁ、しっかり見ててやれよ。メンタル弱いだろう」


そんなところまで心配してくれなくていいのに
ママだな


「はい。ありがとうございます」
「……」
「失礼します」


俺は何度目ともわからないお礼をして事務所を出た

ストーリーメニュー

TOPTOPへ