
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
着替えてリビングに戻ると、丁度千秋がテーブルに食事を運び終えたところだった
「今日もお仕事お疲れ様でした。どうぞ」
「……あぁ」
勧められてテーブルにつくが、俺の心は晴れないまま
さっきからずっと千秋のあの反応が頭の中で繰り返されている
そんな考え事に耽っていたら、千秋の料理を味わう余裕もなく食べ終えてしまった
悪いことしたな
「お風呂沸いてますよ」
「あぁ。……いや、その前に千秋、そこに座ってくれ」
「?はい」
俺が空にした皿をシンクに運んでいた千秋が俺の言葉でリビングに戻ってくる
「なんでしょう?」
その可愛らしい顔で首を傾げる千秋が、俺の対面の席に座った
「悪い話じゃないってことを念頭に置いたままで、俺の話を落ち着いて聞いて欲しい」
「それは、結局は良い話ってことですか?」
「あぁ」
「わかりました」
俺はゆっくりと誤解のないように、悠史がエリカのせいで家を出ることになった経緯を話した
悠史の名前が冒頭で出た瞬間に表情を硬くした千秋だったが、俺がしっかり前置きしていたせいか取り乱すことなく最後まで聞いてくれた
「ーーつまり、もう悠史を取り返せる材料は揃ってる。じきに、あいつはちゃんと返してもらう」
