
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
寝る前の挨拶を済ませたはいいものの
どれだけ時間が経っても
寝れねぇ
何故か俺の目は冴えきっていた
三崎さんや佐伯さんと話して、仕事して、エリカと会って、千秋に悠史のこと話して
仕事中飲んだ大量の酒も相まって確実に爆睡出来るはずなのに
「……」
何故か睡魔が襲ってこない
薄く目を開けると、泣いて疲れていたらしい千秋が既に寝息を立てていた
眠れない原因はこいつか
千秋の、余計なこと考え過ぎてんだな
多分
くそ
女かよ
自分で自分が嫌になって俺は千秋を起こさないように布団を出た
キッチンで冷蔵庫に入っていたビールを取ってベランダに出る
深夜だというのに明かりの減らない街が眼下に広がっていて、俺はそれを見ながらビールを煽った
あーー……まず
仕事中に飲んでいた酒は歩いたり風呂に入ったりで抜けたと思っていたが量的にそんなことになるはずがなく、ビールを飲んで酔いが蘇ってきた
自宅で飲んでいるという安心感からいつもより酔いが回って足元がふわふわと浮いているような感覚に陥る
こんぐらいなら寝れっかな
寝れそうだな
残りのビールを一気飲みして、わずかな時間の休憩を終わらせ部屋に戻った
