
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
「働いてもいねぇのに随分大金持ちだな、とは思ったんだよ」
三崎さんの言葉にエリカさんは顔を真っ青にしている
僕の何が何だかわからない、という顔に三崎さんが気がついたんだろう
持っていたその紙を床にひらりと落として説明してくれた
「案の定、会社の金を使い込んでたのはこいつだったんだよ」
「え……?」
エリカさんは黙ったまま、床を見つめて震えている
「社員誘惑して、時には脅して抱き込んで会社の金を巻き上げてた。そりゃあもう笑えねぇ単位の金をな」
やっぱり、お金はエリカさんが稼いだりしてきたものじゃなかったんだ
「その金で医者も探偵も記者も買い取って偽造した診断書やら大して信憑性のない記事やら書かせてやがったみたいだ」
三崎さんがポケットから取り出したタバコに火を点けて吸い込む
吐き出された紫煙は窓の開いていない部屋を漂って、エリカさんの元へと下りていった
「……違う……」
「あ?」
エリカさんが弱々しく反抗した言葉に三崎さんが鋭い目を向ける
暴力団関係者すら黙らせる鋭い眼光にエリカさんも一瞬怯んだけれど、その怯えを振り払うように叫んだ
「誠二くんは違うっ!!!!!」
