
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
リビングに行くと、見た覚えが微かにあるミスマッチなテーブルセットに三崎さんとエリカさんが座っている
「目ぇ覚めたのか」
「悠史、大丈夫?」
「はい。ご心配おかけ致しました」
テーブルの手前三崎さんの隣に僕が座って、向かいにエリカさんと長野さんが座った
「「「「…………」」」」
全員が沈黙していて、話が進まない
ずっとソファの花柄を目で追っていると、エリカさんが沈黙を破った
頭を下げて、僕に謝罪する
「悠史っ……ごめんなさい……!!」
「エリカさん……」
顔を上げたエリカさんの目には涙が滲んでいる
嘘でもなんでもない、本物の涙
「……ちゃんと説明して下さるんですよね?」
「…………はい…………」
小さく返事をしたエリカさんは俯いて、何から話せばいいのかと悩んでいるように見える
そして口を開いた
「……会社のお金は、発覚した時よりずっとずっと前から社員の人にお願いして受け取ってたの……こんなこと言ったら、悪いんだけど…………悠史と敦史にそのほとんどを使ってた……」
僕たちに、か
お店の中でも上客の中の1人だったエリカさんの使っていたお金が、実は不正を行って得たお金だったなんて
隣の三崎さんが小さく舌打ちした
