
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
今後捜査が進んでいけばお店にも警察が来ると考えてのことだろう
この話を聞いてから予想できない話ではなかったから驚きはしないけれど、やっぱり迷惑をかけてしまったっていうのは申し訳ないな
「それで…………それ、で……っ、ぅ……」
続きを話そうとしたエリカさんは、途中で涙を流し始めた
隣に座っていた長野さんがエリカさんの背中に手を当てて摩る
「私……っ……寂し、……くて……っ」
「?」
寂しくて?
それからなきじゃっくりが止まらなくなってしまって、エリカさんの話が一旦中断されてしまった
するとそれまで黙っていた長野さんが僕に向き直る
「ここからは、僕がお話しします」
「せ、じくん……?」
事情を細かく知っているのだろうか、と首を傾げているとエリカさんも同じことを考えていたらしく不思議そうな顔をした
「僕は、君が考えていることぐらいわかっているつもりだよ」
「!」
「……では、お願いします」
「はい」
そう言って話し出したのは、衝撃、と言っていいほどの事実だった
「重大なことをお伝えしていなかったのですが、実は僕はエリカさんの婚約者なんです」
「え?」
婚約者?
嘘でしょ
だってエリカさんは僕に結婚を迫ってた……よね?
