
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
当然僕はその疑問を口にした
「それなら、僕に迫るのはおかしくないですか?」
すると全てわかっている顔の長野さんは困ったように微笑む
「そうですね、おかしいです」
そして、未だに泣きじゃくるエリカさんの背中をそっと撫でると微笑みを優しさの溢れたものに変え
「僕の愛情を試していたのでしょう?エリカさん」
と静かに言った
「……っ」
エリカさんの背中がぴくり、と反応したのが僕の所からでも見える
愛情を試していた?
「僕たちはもともと幼馴染で、小さい頃から知っている仲なんです。年は少し離れていますが、なんというか、昔から近所のお兄ちゃんとよく懐いてくれる妹、というような関係でした。よくあるでしょう?」
関係的には、よくある感じなのかな?
僕が頷くと、長野さんが続きを話してくれる
「ただ普通と違ったのは、僕が大病院の跡取りであることと、エリカさんが社長令嬢であることです」
普通と、違うこと
僕の頭に浮かんだのは千秋さんと敦史と僕の、同性でしかも三人という奇怪な関係性だった
2人は今、どうしているかな
「僕たちの両親は僕達が生まれる前からの知り合いで、お互いに信頼のおける血筋の人間と子供を結婚させようとして、僕達を引き合わせたんだそうです」
