
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
それと、僕が感じた違和感はもう1つ
千秋さん……
痛いって、声に出てなかった
「千秋さん?どこが痛いですか。ちゃんと言ってください」
「……」
困ったように俯く千秋さんに、僕は確信した
千秋さんは失声症を再発させている
「……千秋さん、ゆっくりでいいので歩いて下さい。ソファに座るのは痛くないですか?」
「……」
小さく頷いてゆっくりと歩を進める千秋さんを見て、僕の心が痛むのと同時に原因は何かと考える
どうして
敦史は何をしてたの
僕が傍にいられない時に、敦史も傍にいないんじゃしょうがないじゃないか
って言ってもそれは、僕には責められないんだけど
それにしても、原因はなんだろう
前にこうなってしまった時は……
「!」
過去に千秋さんが声を失った時の原因を思い出して、思わず声が出そうになった
過去2度発症した失声症
その原因は共にレイプだった
もしかして今回も……?
だとしたら今痛がってるのって、足じゃなくて腰?
鼓動が早くなってくる
それと共に胸の痛みも増した
そんな
どうして
漸くソファに着いた千秋さんに手を貸しながら座らせて、僕はとにかく必死で考えを巡らせた
