
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
もしかして千秋さんに手を出した相手に敦史が報復しに行っているとか?
十分ありえるな
それなら急いで止めに行かないと
とは考えてみたものの本当の答えなんて出るわけがなくて、結局はすべての事情を知っているであろう千秋さんに聞くしかなかった
「千秋さん、敦史はどこに行ったんでしょう?」
「……」
黙って何も答えない千秋さんに、
あぁ、声が出なかったんだった
と思い出して急いで紙とペンを取りに行った
それを手渡してみたけれど、千秋さんは受け取っただけで何かを書こうとする気配もない
「?」
どうしたんだろう?
やっばり、言いづらいんだろうか
辛そうな顔で俯く千秋さんに、傍にいなかった敦史により傍にいられなかった自分の不甲斐なさに苛立つ
「……千秋さん、辛いと思うのですが……何があったかわからなければ何をすることもできません」
そして、思いついてしまった千秋さんが何も語らないもう1つの可能性に、言葉が詰まる
「…………それとも、僕はやっぱり許しては貰えないということなのでしょうか…………」
自分でも驚くほど細い声が出て、千秋さんも顔を跳ねるようにあげた
