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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


「せっかく敦史のおかげで戻ってこれたのに、敦史がいないんじゃ締まりがないですよね」


そう言った悠史さんは家の電話を取ってどこかにかけ始める

すると家のどこかで小さく着信音が鳴った


「ダメだ。携帯置いて行っちゃったのか」


かけていたのは、敦史さんの携帯電話だったみたい


番号覚えてるなんて、すごいな
これも双子パワーなのかな


なんて惚けたことを考えながら、メモに字を書いていく


早く悠史さんに、自分でちゃんとおかえりなさいって言いたいな


『行く宛なんて、わからないですよね』


トントン、と紙を叩くとすぐに気がついてくれた悠史さんがメモを見て、うぅんと唸る


「そうですね……全くわからないわけではないのですが、こういう事態に陥ったことがないのでそこにいるかどうかは微妙ですね」
『こういう事態?』
「好きな人にヤキモチを焼いてってことです」


好きな人、って
あぁ……顔が熱い


僕を見て悠史さんがふふふ、と笑っている


好きな人……か

やめよう

敦史さんが僕のことを好きかどうかなんて、気にするのやめよう
そんなもの関係なく、僕が好きならそれをちゃんと伝えよう

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