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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


悠史さんと2人で一緒に回った場所は、僕が知らない思い出の詰まったところばかりだった


最初に行ったのは初めて見た2人の仕事場ホストクラブ「ange」

「ちょっと待っていて下さい」と悠史さんに言われ外でお店を眺めていたのだけど、暫くして出てきたのは悠史さんだけじゃなくて男の人2人も一緒だった


「突然すみません、千秋さん。こちら僕達がお世話になっているホストクラブの店長の三崎さんとオーナーの佐伯さんです」


僕が焦って頭をさげると、佐伯さんと紹介された方の男性が人の良い笑みを浮かべながら僕の頭を撫でた


「可愛い子じゃない。お前らも隅に置けないねぇ」


わ、わ……


敦史さんより幾らか乱暴に撫でられて、髪の毛がぐちゃぐちゃになってしまう


「おい、やめてやれ。困ってんだろ」


すると三崎さんと紹介された方が止めに入ってくれて、乱れた髪を直してくれた

お礼の意味を込めて微笑むと、三崎さんは無表情な顔に僅かな微笑みを浮かべて


「三崎だ。敦史と悠史がいつも世話んなってるな」


と言った


「それは身内の千秋さんが言うセリフでは?」
「本当だ。ママったら」


あっ、そうだった


慌ててメモ帳を取り出そうとすると、2人が怪訝な顔をする

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