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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


和やかな雰囲気が流れたところで、悠史さんが本題について2人に話してくれる


敦史さんがいなくなったことと
居場所を知らないか聞いてみると


「知らねぇな」
「今日は一度も店に出勤してないね」


という答えが返ってきた


そっか
知らないか


僕がしゅん、と項垂れて落ち込むと、三崎さんが再び頭を撫でてくれる


「家で仲良くやってると思ったのに今度は敦史か。大変だな」
「一応知り合いに電話とかで確認してみるよ」
「すみません。お願いします」


次の場所に移動しようとすると、三崎さんは「また来い」と言ってくれた

笑顔で頭を下げた僕の頭にまた伸ばそうとした手は「さっき自分で止めたでしょ」と佐伯さんに阻まれてしまう


『また来ます。』
「あぁ」
「いつでもおいで」
「それでは失礼します。行きましょう、千秋さん」


2人の働くお店を後にして次に向かったのはとある公園だった

どうしてここなのか、と悠史さんに尋ねると


「ここは、僕と敦史が小さい頃に遊んだ公園なんです。大きくなってからは、敦史が喧嘩して家に帰りたくない時にここによく来てました」


と答えが返ってきた

「迎えに来るのはいっつも僕で」と笑う悠史さんに、僕もこの近くで生まれたかったなぁ、なんて思う

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