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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


『どうして世界征服なんですか?』
「今では誰にも負けないほど喧嘩の強い敦史ですが、小学生の頃はそんなことなくて負けてばかりだったんです。それで悔しくて、1人で泣きながらここに世界征服するほど強くなるって誓ったんですよ」


可愛いなぁ
本当に、小さい頃から知り合いとして生まれたかった


『悠史さんは、小学生の頃どんな子供だったんですか?』


敦史さんの思い出話を微笑みながら語る悠史さんにそう聞くと、予想外だったのか驚いた顔をされる


「僕、ですか?」


こくん、と頷くと考え込むような仕草で


「普通……だと思いますけど……自分のことと言うのは答えにくいですね。いつか敦史に聞いてみて下さい」


照れ臭そうに笑った悠史さんが、小学生の頃を想像する

今みたいに優しい怒り方をしながら、家に帰ってこない敦史さんを探して公園に迎えに来る

『かえろ?敦史』『やだ』『お母さんまってるよ』『……悠史は?』『さっきからずっと待ってる』『…………帰る』

あぁもう、なんて可愛い兄弟なんだろう
誘拐とかされなくて良かったなぁ


この想像だけで小説が書けそうだ、と顔を綻ばせる僕に悠史さんが「次のところに行きましょうか」と声をかけた



悠史さんについて歩いていると、今度はビルが立ち並ぶところに出る


こんなところに敦史さんがいるのかな

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