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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


頭冷やそう、とその辺のベンチに座ろうと思ったが、座ってしまえば千秋のことが今にも頭を支配しそうで座るのは諦めてとにかく足を進めた


……そういや悠史を助けに行けてないまんまだな
でも、もうほぼあの女の尻尾は掴んでた

きっとすぐに取り返せる

あわよくば三崎さんや佐伯さんが助けてくれないか、とか考えたが、都合が良すぎるし
俺がちゃんと助けてやらないと


罪悪感がこみ上げてくる


千秋にも、悠史にも悪いことした


こんなとこでほっつき歩いてる場合じゃねぇよな
くそ

ちゃんとケジメつけねぇと


俺はすんなりと頭に思い浮かんだ場所に足を進めた



金がねぇから歩いて、着いた頃には陽はとっくに昇っていた

俺が歩いて行った場所は俺と悠史が通っていた高校


流石に平日の昼間なんて普通に授業中で、中に入るわけにはいかないからフェンスの外側から回ってみる


やってきたのは体育館の裏側


あの日、悠史が俺の代わりに殴られていた場所


久しぶりに来たな
何年ぶりだ?

卒業して以来くることもなかったし


そりゃそうか
社会人が卒業校に頻繁に来てる時間なんかあるわけねぇよな


何にも変わってねぇ


ここも、俺も

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