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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


「!」


静まった校舎裏に、乾いた音が響いた

千秋に平手で叩かれたんだ、と自覚したのは俺の頭を千秋が抱き締めてから


全然痛くねぇよ
なのに


「いってぇ……」


千秋の喉から断続的に空気の漏れる音がする

何か言いたいんだろうか?

しかしどれだけ待っても千秋の口から漏れるのは空気ばかりで声になることはない


なんで何も言わない?


俺が訝しげに思っていると、一部始終を立って眺めていた悠史が言った


「敦史が千秋さんにしたことのせいで、千秋さんはまた声を失ったんだよ」
「!?」


失声症を再発させた、という事実に胸が詰まる


俺が、千秋のトラウマをまた引き起こしたんだ
古傷えぐるような真似しちまったんだ


すると、俺から身体を離した千秋が俺と悠史を交互に見て首を大きく横に振った


「違う? 何が違うんだよ。俺のせいでお前が傷ついてるっていう事実は何も変わんねぇだろ」


俺の言葉に千秋は眉を釣り上げる

怒ってる、みたいな

そして千秋は今度はその顔を苦しそうに歪めて


「ーー!!ーーー!!!!!」


何かを叫んでいるように口を動かした


「千秋さん!?やめて下さい!喉が壊れてしまいますよ!?」


悠史が駆け寄って宥めようとするが、千秋は叫ぶのをやめない


なんで

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