
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
放った言葉は途切れ途切れ
だけどちゃんと言った
みっともなく泣きじゃくりながら
敦史さんの服を離さないように強く掴んで
「貴方が好きなんです……敦史さんも、悠史さんも……いなきゃ、僕、は……っ……」
色んなことがあった今日が
走馬灯のように流れた
そして
あぁ、そういえば僕
今日一回もご飯を食べてない
と気がつく
それなのに泣いて
怒って
だめだ
意識が朦朧とする
自分の身体が前に傾いで、何かに支えられた
それが敦史さんだってわかったけど、起き上がる力も入らない
「千秋!?」
「千秋さん!?」
僕の名前を呼ぶ2人の声が遠くに聞こえる
もっともっと
伝えたいことがあったのに
僕の馬鹿
歪む視界が段々と狭くなっていって
僕の意識は深く暗い海の底に沈むように途切れた
次の瞬間、気がつけば明るい場所に寝かされていて
目を開けてみれば僕の部屋のベッドだってことがわかる
僕、あの後どうしたんだろうか
「あつしさ……ゆ、しさん……」
試しに声を出してみるとちゃんと声が出た
2人を探しに行かなきゃ
熱っぽくて重い身体を無理やり起こしてみると、目の前が歪んで身体がふらつく
「うぅ……」
気持ち悪くてうずくまっていると、ドアの向こうからバタバタと音が聞こえてきた
