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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


すると突然僕の部屋の扉が勢いよく開かれて、そこから敦史さんと悠史さんが入ってくる


あ……
2人ともちゃんといる

良かった


2人の姿を見た瞬間に気持ち悪さがすっと軽くなった


「千秋さん?大丈夫ですか?」


悠史さんが心底心配そうな顔をしながらベッドの横に立ち膝になって僕の背中をさすってくれる


優しい手つき
これだけでも随分楽になった


「もう、大丈夫です。大分楽になりました」


顔を上げて微笑みを向けると、敦史さんが僕の顔に浮かんだ汗をタオルで拭ってくれた

それでもう、僕の気持ち悪さは完全になくなる


「……」
「……」


でも、僕が良かった、と胸をなでおろしているのと裏腹に2人は気まずそうに俯いて黙り込んでしまった


「?」


どうしたんだろう?


「あの……?」


深刻そうな2人の雰囲気におそるおそる声をかけてみる

すると、悠史さんが僕に向かって深々と頭を下げた


「千秋さん、申し訳ございませんでした」
「へ?」


突然の謝罪に間抜けな声が出る

そんな僕に構わず今度は悠史さんの隣の敦史さんも頭を下げた


「千秋、悪かった」


えっ?えっ?
僕何かしたのかな


2人のすごく悲しそうな顔に、僕の方が焦ってしまう

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